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住宅業界の今後の動向と展望は?働くメリットや向いている人も紹介!

Category:業界研究

マイホーム購入を検討する方のなかには、住宅業界全体の今後の動向が気になっている方もいるのではないでしょうか。近年はコンパクトな自分たちにちょうどいい家や省エネ重視のプランに注目が集まっています。

マイホームは今や若いうちから建てるものという認識が広がり、20代から建てる方も増えています。住宅そのものも広さや豪華さよりも、機能性や性能、自分たちのこだわりなどを重視したプランが主流となりつつあります。

そんな住宅業界で働きたい場合、今後の住宅業界の動向や傾向を調べておくことが重要です。建物の構造や種類はもちろんのこと、業態や職種も把握しておくことで、自分にマッチする仕事を見つけられるでしょう。

住宅業界とは?

住宅業界とは、注文住宅や分譲住宅などの戸建て住宅の設計や建築、販売をメインの事業とする業界を指します。携わるのはハウスメーカーや工務店などが中心で、企業規模や個人事業主などの業態は幅広くあります。

また、戸建て住宅を扱う企業のほかに、街づくりを中心とするデベロッパーや、マンションなどの集合住宅の売買を行う不動産仲介業なども不動産に関わることから、住宅業界の一部として解釈することが多いです。

生活するうえでマストな存在である住宅は、街を形成する意味でも不可欠な存在です。そのため、住宅の建築や販売を行う住宅業界は、地域への貢献度が高いことはもちろん、社会基盤の一部を担うといっても過言ではないでしょう。

【工法別】住宅の種類とは?

住宅は、建物の骨組みとなる素材により、3種類に分類することができます。この骨組みは、一度建築するとあとから変更することが難しく、建物の中心かつ重要な部分です。

木造や鉄骨など見聞きしたことがある方もいると思いますが、それぞれどのような特徴があるのか、詳しくチェックしていきましょう。

木造

木造は、建物の骨組みとなる柱や梁に木材を使用する構造です。国内では、古くからさまざまな建物に用いられたものであり、現存する住宅のなかでも最も多い構造だといえるでしょう。

主なメリットとして、建築コストを抑えられることや断熱性に優れていること、天然素材のために人に優しい点が挙げられます。

その一方で、耐震性においては高規格で造る必要があり、環境によってはシロアリ被害の可能性があります。木材は害虫被害に合いやすい傾向があるため、事前の対策や定期的なメンテナンスが必要です。

鉄骨造

鉄骨造は、鉄を使って建物の骨組みを造る構造です。現代では住宅のみならず構想建築物や、地域の橋の橋梁など、大型建造物にも適用されることが多いです。

主なメリットとして、木材よりも強度が高いことから耐震性を高めやすく、強度が高いゆえに大空間を造りたいときにも適しています。ホールや体育館などでも用いられるケースが少なくないでしょう。

デメリットとしては、木材よりも建築コストが高騰しやすく、断熱性が低いことが挙げられます。

また、鉄という素材の特性から、約500度を超えると強度が落ちるため、火災に弱い側面も持ち合わせています。鉄骨造の大型建築物で火災が発生した際には、倒壊するおそれもあるでしょう。

鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリート造は、鉄筋を中に入れたコンクリートを建物の骨組みに使った構造です。鉄筋を入れてコンクリートを固めることで、強度を高められます。

木造に比べて耐震性を高めやすく、耐火性・防音性・高気密・高熱伝導率と、性能面でも優秀です。そのため、建物の柱や壁を少なくして、大空間を造る際に用いられることが多いです。

ただ、3種類の構造のなかでは最も建築コストが高く、建築期間も長い傾向があります。加えて、ほかの構造よりも建物自体が重くなるため、それに耐えられるだけの地盤が必要になるといったデメリットがあります。

さらに、熱伝導率が高いことから外気温の影響を受けやすく、建物内では高気密なことが災いして、結露やカビが発生しやすいといった側面もあります。

住宅業界のさまざまな業態と職種


住宅が消費者に提供されるまでには、さまざまな企業が関わっています。それぞれの工程で携わる業態や仕事内容も違います。ここでは、住宅業界の業態と職種について詳しくみていきましょう。自分のやりたい仕事像と照らしあわせてみてください。

一般的なビジネスモデル

住宅業界は、設計や建築する業態と、完成した住宅を販売したり賃貸にしたりすることで、消費者に提供することが基本的なビジネスモデルになります。

また、消費者に提供して終わりではなく、住宅の管理やリフォーム・リノベーションなどのサービスを提供する会社も住宅業界に属します。

これらのビジネスモデルは、公共事業と民間事業に大きく分かれ、同じ住宅業界でもそれぞれ仕事内容や規模が異なることが特徴です。

公共事業

公共事業は、国や各自治体などの公共団体から受ける事業のことをいいます。地域の道路や橋の建設などを担うことが多いです。請負会社は競争入札により決まり、発注された作業を予算や期間に合わせて行います。

民間事業

民間事業は、個人や企業などから受ける事業のことです。場合によっては、企業間の紹介や個人の申し込みなどで請け負うケースもあります。直接受注のほかには、相見積もりによる発注などもあります。

住宅業界は、どちらかというと民間事業であることが多く、個人のお客様から戸建てや集合住宅の建築を受注するケースがほとんどです。

住宅業界の各業態

住宅業界には設計や建築、販売などのように各工程でさまざまな業態が存在しています。具体的に、どのような業態がどんな役割を担っているのか、詳しくチェックしていきましょう。

ゼネコン

ゼネラル・コントラクター、通称ゼネコンは、日本語では総合建設業という意味があります。ゼネコンと呼ばれる企業は全体的に大企業が多く、公共施設や地域の開発などに携わることが多いです。

個人向けの住宅や集合住宅よりも、規模の大きな案件を扱うことがゼネコンの特徴ともいえるでしょう。ただ、なかには中堅ゼネコンとハウスメーカーが提携して行われる事業もあり、取り扱う事業によってはこの限りではありません。

ハウスメーカー

ハウスメーカーとは、一般に広域で住宅建設を展開する企業のことをいいます。住宅の建設から販売まで一貫して扱うところも珍しくなく、メディアへの露出も多めの企業が多いです。

ハウスメーカーのなかには、自社独自の建設基準を設けた企画住宅シリーズや、高級感あふれる完全自由設計のプランなどがあり、品質の安定やこだわりを実現したい場合にも適しています。

工務店

地域密着型の営業スタイルが特徴の工務店は、地域の生活スタイルや気候、土地の特徴などを熟知した独自の住宅建設を得意としています。

ハウスメーカーに比べて、事業規模は限られたエリアになり、着工数も多くはありませんが、お客様とのコミュニケーションが取りやすく、ニーズを的確に取り入れた住宅設計・建築ができることが強みです。

設計事務所

設計事務所は、自由度の高い設計ができることが特徴で、注文住宅など好みやこだわりに合わせた住宅を作ることができます。細部まで自由にできる反面、コストが高くなりやすく、工期も長期化する傾向があります。

また、建築士の経験や知識に左右されるところもあるので、複数の設計事務所を比較検討するなど、事務所選びも重要です。

施工管理

施工管理は個人向けの住宅を建てる際に、着工から完成・引き渡しまで工事を統括する役割を担います。ほかの業界でも施工管理という仕事はありますが、住宅業界の場合は、お客様の夢を実現する意味合いが濃いといえるでしょう。

また、工事現場などの現場監督とは明確な線引きがないことから、着工する業者や企業によっては現場監督とされることもあります。

リフォーム会社

リフォーム会社は、古くなった住宅設備や住宅を新築と同じ性能に戻すことをメインとしています。たとえば、水回りなどは定期的にリフォームする方が節水や省エネ、安全性を確保できます。

ハウスメーカーや工務店でもリフォームを扱うところはありますが、リフォームのみ専門とする企業もあり、手掛ける業者が幅広いことが特徴です。

不動産仲介と管理会社

不動産仲介は、主に部屋探しをしている人とオーナーの間で橋渡しをする役割を担い、部屋の賃貸借にかかわる仕事です。宅地建物取引業の認可を受け、宅建免許を保有することが必要です。

よく似たポジションの管理会社は、賃貸物件の管理業務と入居者管理を中心に行います。主に、建物の外壁や住宅設備のメンテナンス、入居者の家賃や契約更新などの業務があります。

近年では、不動産仲介と管理を兼ねる会社も増えており、一概に区別することが難しいのが現状です。

住宅業界の主な職種と仕事内容


住宅業界には、業界ならではの職種があります。ここでは、どんな職種があるのかチェックしていきましょう。

設計

これからマイホームを建てる方のニーズや希望をヒアリングして、予算も含めて家づくりをサポートする仕事です。複数回打ち合わせを行い、図面を書くことがメインになります。

お客様の家族構成や時代にマッチする住まいづくりができることが、何よりの魅力といえるでしょう。

営業

住宅業界での営業職は、土地や住宅のみならず、その地域の都市計画や近隣の学校事情など、幅広い情報が必要となる仕事です。住宅展示場に来店した方のマイホームに対するニーズを汲み取り、適切な提案を行います。

マイホームは高額な買い物になることから、ファイナンシャルプランナーの資格を取得して、資金の相談にも対応する方も少なくありません。

現場監督

現場監督は、設計図を元に着工から完成までを一元管理する仕事です。建築がスケジュールどおりに進むよう確認することが、主な業務になります。

具体的には、設計図とスケジュールを元に職人へ指示を出す役割を担うほか、資材調達やお客様への施行内容の説明などを行います。

積算

設計書を元に、建築工事の費用を計算して予測するのが積算の仕事です。企業によっては、値段を出すことを見積もりとし、建築物の費用を積算とするところもあります。

CADオペレーター

CADは、パソコン上で設計や製図ができるソフトのことで、オペレーターはCADを使って図面をつくる人のことを指します。簡単に製図ができることや、データを修正しやすいこと、図面の管理や共有も楽にできるなどのメリットがあります。

CADオペレーターになるにはとくに資格は必要ありませんが、携わる仕事により難易度やスキルが異なり、住宅業界でも広く需要がある職種です。

インテリアコーディネーター

インテリアコーディネーターは、建物内の空間についてトータル的にインテリアをコーディネートする仕事です。住む人の要望をヒアリングして、イメージを具現化するためのプランをつくります。

内装に必要な建材や照明器具、壁紙や家具など幅広い知識に加え、住む人が快適に過ごせるようアイディアやセンスなども必要になるでしょう。住宅のみならず、店舗やオフィスなどでも需要があります。

事務

住宅業界での事務は、店舗にご来店されるお客様の接客業務や電話対応をはじめとする受付業務をメインに行います。

また、土地や物件などの資料作成、ホームページやポータルサイトなどの情報更新業務、お客様情報の管理といった、デスクワークも担う仕事です。

その他

住宅業界の職種には、これまでに紹介したもの以外にも、大工さんや電気工事などの職人、建材や住宅設備の販売・営業、人事や総務、経理、経営企画などがあります。建物に関わるさまざまな職種があるので、これまでに挙げたもの以外にも探してみるとよいでしょう。

住宅業界が向いている人


どんな業界で働くとしても、向き・不向きはあるものです。では、住宅業界にはどのような人が向いているのでしょうか。ここでは、住宅業界に向いている人の特徴を紹介していきます。

目的や目標意識が高い人

住宅業界は、全体に結果を重視する傾向があります。どのような業態・職種であったとしても、なんらかの形でノルマを課せられることが多く、達成できなければ給料に影響することもあります。

たとえばハウスメーカーの営業の場合、お客様がモデルルームに来店するのは主に土日になるため、土日は出勤し、平日が公休となるケースもあるでしょう。しかし、こうした側面にもメリットを見出し、ポジティブに捉えられるメンタルの人は住宅業界に向いています。

また、ノルマ達成のためには、常に自己研鑽の意識を持って業務にあたる姿勢が求められます。こうしたことから、精神的にタフで、目標達成意欲の高い人が適している業界といえます。

プレッシャーに強い人

住宅はコンスタントに売れるとは限らず、マイホームなら高額な取引となるため、ときにはノルマを達成できないときもあるでしょう。そういったときでも、プレッシャーに屈することなく働ける人は、住宅業界に向いています。

また、目標を掲げながらも日々の仕事をよい意味で楽観的に捉え、自分を追い詰めないでいられる適度な鈍感力がある人も向いているといえます。

スケジュール管理が得意な人

住宅業界は、住宅をつくり販売するだけでなく、購入者であるお客様とのやりとりや、設計・職人・住宅設備業者などとの関わりが重要です。それぞれにスケジュールがあるため、お互いに打ち合わせ日程や納期などをすり合わせて行く必要があります。

こうしたことから、関係者と計画的に仕事を進められる人や、スケジュール管理が得意な人が向いているといえるでしょう。反対に、計画的にものごとを進められない人や自分のペースで進めたい人には、負荷がかかる仕事となります。

また、スケジュール管理をするうえで、効率的に日程調整をするスキルがあると、よりこの業界では重宝されます。

コミュニケーションを取るのが好きな人

住宅業界は、さまざまな立場の人との関わりが大切な業界なので、コミュニケーションをとるのが好きな人にはうってつけです。お客様をはじめ、職人や住宅設備関係者、銀行や建材の取引先などは、長い付き合いになることがほとんどです。

また、マイホームは高額かつ大きな買い物です。購入者の希望や理想を詰め込んだ、こだわりのマイホームになることもあるでしょう。さらに、長期的なアフターサービスを求めるケースや、不安や疑問を解消してから検討したい方もいます。

こうしたことからも、相手の要望をうまく引き出せるコミュニケーション能力は、住宅業界において重要な要素といえるでしょう。

住宅業界が向いていない人

住宅業界に魅力を感じたとしても、自分が業界に馴染めない場合は、働き始めてからミスマッチを起こすことがあります。住宅業界に向いていない人は、どんな特徴があるのか見ていくので、自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

自分の意見を優先してしまう人

マイホームを購入する場合、自分が理想とする住まいを建てたいと思うのは自然なことであり、必然的に主役は購入者であるお客様になります。住宅業界で働くには、お客様をどれだけサポートできるかが重要であり、寄り添う思考や価値観への共感なども不可欠です。

お客様を優先できずに自分の意見を優先してしまっては、お客様は「この会社では自分の思い描くマイホームがつくれないのではないか」と不信感を持ち、他社に相談することもあるでしょう。

こうしたことから、お客様に寄り添うことができず、自分の意見を優先してしまう人は、住宅業界の適性が低い可能性があります。

ほかにも、ノルマを達成するために成約を進めようとする人や、途中からプランの変更があった場合に苛立ちを見せてしまう人がいます。このような場合もやはり、お客様がやりにくさや不安を感じてしまうでしょう。

気持ちの切替えが苦手な人

人の気持ちは想像以上に変化するもので、マイホームを契約した後であっても、急なプラン変更を希望するお客様も少なくありません。また、お客様のためにしたことが裏目に出てしまうケースや、思わぬところで失敗につながることもあるでしょう。

このようなケースは、どんなに仕事ができる人でもあり得ることで、新人・ベテランに関係なく経験することです。想定外のミスや失敗が発生したとしても、それを引きずりモチベーションが下がるようでは、住宅業界で働くことは難しいでしょう。

ネガティブなことがあったとしてもそれを受け入れて、そこから的確な対応ができる切り替えが必要です。なかなか気持ちを切り替えられない人は、失敗の原因や次にやるべきことを冷静に整理してみるほか、意識して楽天的な言葉を心のなかで呟いてみるのもよいでしょう。

住宅業界の就職に有利な資格


住宅業界への就職を検討しているなら、少しでも有利に就職したいものです。未経験からの就職なら、資格取得がひとつのポイントになるでしょう。では、どのような資格があると就活を有利に運べるのか、主な資格を紹介していきます。

宅地建物取引士(宅建)

宅地建物取引士は、不動産の仲介をする際にマストな資格です。不動産契約の重要事項の説明など、有資格者でなければ行えない独占業務があるので、取得していて損はないでしょう。

また、実務経験や学歴など受験資格がないので、不動産仲介関係の仕事に就きたい場合は取得することをおすすめします。

ただ、不動産の仲介には不可欠でも、新築やリフォームの営業などの職種では活用するシーンが少ないので、就職を希望する職種により選択する必要があります。

ファイナンシャルプランナー(FP)

家計や住宅ローン、資産運用などお金に関する専門家として、活躍できるのがファイナンシャルプランナーです。業界では、金融機関からの借入額や保険など、お金に関する部分をサポートします。

1級~3級まであり、3級は受験資格なし、2級は実務経験もしくは3級を取得していることが条件、1級は2級取得かつ実務経験が必要です。宅建のように独占できる業務はないものの、お金に関わる業務を担当するため、汎用性が高い資格といえるでしょう。

建築士

住宅の設計を担う建築士は、1級・2級があり、そのほかに木造建築士の合計3種類があります。どの資格も、一定の学歴をはじめとした受験資格要件を満たしていなければならないため、あらかじめ要件を確認しておく必要があります。

また、建築士になるには試験合格のほか、国や都道府県へ免許登録申請を行わなくてはなりません。この免許登録には、所定の実務経験が必要となります。

そのため、数年後にキャリアアップすることを目標に、住宅関連企業に就職して必要な要件を満たしておき、就職するまでの間に資格を取得しておくとよいでしょう。

建築士は、図面をつくるだけでなく実際の空間や採光、導線や風通しなど、さまざまな要素を含めて考える仕事です。建材なども含めると幅広い知識が必要となり、住宅業界で専門性を活かして働きたい方におすすめの資格です。

本記事で紹介したもの以外にも、建築に関する資格は多岐にわたります。こちらの記事では、それら資格をジャンルごとに紹介するとともに、資格選びに迷った際のアドバイスや勉強法なども解説しています。

住宅業界で働くメリット


人生のなかで、おそらく最も高い買い物であろう住宅を扱うこの業界は、どのような職種で働くとしてもお客様の生活や人生に関わることが共通しています。

これから住宅業界で働きたいと思っている場合、どのようなメリットやデメリットがあるか事前に知っておきたいものです。はじめに、住宅業界で働くメリットから見ていきましょう。

顧客との距離が近い

個人向けの住宅を扱う業態は、ゼネコンなどのように大規模な仕事をするのとは異なり、お客様との距離が近いことが魅力です。何度も打ち合わせを行ってニーズを汲み取り、それを具現化することで、お客様への価値提供を実感できることでしょう。

また、住宅の引き渡しの際に、お客様からの感謝を得る機会も多いでしょう。相談から引き渡しまでに起こったエピソードなども、自身の経験値として積みあげることができます。

成長しやすい環境がある

住宅の購入は非常に高額であり、一人ひとりのお客様によって、ニーズやこだわりが大きく異なります。

購入を決断することで、お客様の生活や人生に変化が生まれることも珍しくないため、自分を信用して購入を決断してくれたことに、言葉にしがたいやりがいや達成感を得られるでしょう。

個人向けの住宅の場合、途中でのプラン変更が起こることも珍しくありません。また、どんな人でもミスをしてしまうときもあるでしょう。そういったなかでも諦めることなく、完成・引き渡しまでやり抜くことで、自身の成長にもよい影響を与えられます。

飛び込み営業がない

ハウスメーカーなどの場合は、展示場に来店した見込み顧客に営業することが基本となります。そのため、飛び込み営業がないことはメリットといえるでしょう。

住宅関連のすべての職種が飛び込み営業なしというわけではありませんが、個人向け住宅を扱う職種のほとんどは、この点がメリットといえます。

住宅業界で働くデメリット

どんな仕事でもメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、住宅業界で働くうえで注意しておきたいデメリットを解説していきます。

ノルマがある

ハウスメーカーなど個人向け住宅を扱う職種の場合、なんらかの形でノルマを課せられることはよくあります。ノルマの内容は職種により異なるものの、達成できなければ給料に影響するおそれがあるでしょう。

ただ、基本給が毎月一定で、成約ごとに歩合制でプラスアルファとなる場合もあります。そのため、就職する前にどういった給与体系になっているか、しっかり確認しておくことをおすすめします。

休みが平日にある

モデルルームや展示場などは週末に開放されることが多く、またお客様も休日を利用して来場することが多いため、平日が休日になる傾向があります。休みがないわけではないものの、一般的なビジネスパーソンのように土日が休めない点はデメリットといえるでしょう。

ただ、有給休暇の上手な活用で土日に休めるケースもあり、事前に確認したり申請を出しておいたりすることで調整は可能です。

また、平日休みのメリットとしては、役所や銀行、病院を利用しやすい点が挙げられます。そのほか、スキルアップのための資格講座や施設予約も取りやすく、各種商業施設やレジャー施設の平日割引を利用してお得にリフレッシュすることもできるでしょう。

幅広い知識が必要

お客様のニーズを満たせる住宅を提供するためには、住宅に関する幅広い知識が必要となります。入社間もないころは、知識や経験の浅さが顕著となり、学びに充てる時間や労力も必要となるため、デメリットと感じることもあります。

ただ、住宅業界で活躍するためには、どの職種に就くとしてもある程度の知識は必要となるうえ、経験を重ねることで次第にクリアになっていく要素のため、決定的なデメリットというほどではありません。

少しずつ知識や経験を増やし、時代の流れを把握するなどしていけば、おのずとやりがいを感じられるようになるでしょう。

住宅業界の現状と動向


日本国内では、少子化など人口減少が問題となっていますが、住宅業界にはどんな影響があるのでしょうか。今後、どんな仕事に就くとしても、業界の現状と動向は把握しておかなければなりません。ここでは、住宅業界の現状と動向をチェックしていきます。

国内の市場規模

国内では、2020年ごろから主要企業の売上は減少傾向にあり、新築住宅の着工個数もわずかながら減少しています。そのため、規模を縮小せざるを得ない企業も出てきています。

ただ、減少傾向にありながらも、売上が半減するほどの大幅な規模縮小というわけではないため、今後の動向を見守る必要はあるでしょう。

人材不足

住宅業界は、慢性的な人材不足の状態であり、少子高齢化の影響も含めると、今後は深刻な人材不足が懸念されています。

たとえば、住宅を建てる大工さんの場合、高所作業など危険をともなう業務も珍しくないでしょう。また、職人の世界は縦社会であることからも、働きにくさや労働環境への不安を覚える若手は少なくありません。こうしたことから、人材不足による将来への不安が否めないといえます。

コロナによる業界への影響

新型コロナウイルスの流行により、ステイホームを余儀なくされた時期がありましたが、このことがきっかけで住環境への関心が高まってきています。

自宅にいる時間が増えたこと以外に、テレワークが普及したことなどもあり、過ごしやすい快適な環境を意識する傾向があります。

新型コロナウイルスの流行が今後落ち着くとしても、業務の効率化を図るためにテレワークを継続する企業は存在するため、新築やリフォームなどの需要は高まる可能性があるでしょう。

新設住宅着工戸数の減少

住宅業界の動向を図るうえで注目したいのは、新設住宅の着工数です。主要大手企業の新設住宅の着工数は、2020年頃からゆるやかながらも減少しており、売上が半減するなど大幅な縮小ではありませんが、やや縮小傾向にあるといえるでしょう。

しかし、これは新築でマイホームを持つ人が減少しつつあるという意味であり、中古物件や中古マンションなどを購入した数は含まれていません。

そのため、数値的にはやや業界規模そのものが減少しているといえますが、将来性がない、業界不振などのような状況ではないといえるでしょう。

今後の推移

少子高齢化の影響で、今後の日本は人口が減少する可能性があり、それにともない住宅の需要も低下するおそれがあります。

空き家が増加するなど、その影響は否めないものがありますが、個人向け住宅以外の分野での事業で動きがあり、各社は新しい分野への動きを見せています。

たとえば、各種サービスが付帯した高齢者向けの住宅建設や、建材の研究開発などです。これまで培ってきたノウハウや経験を活かし、事業縮小を食い止め、新しい分野での事業拡大の可能性が高まっています。

また、国内の住宅需要の低下を受けて、海外事業に力を入れる企業も増えています。先進国はもちろん、新興国などを対象に、戸建てやマンションなどの住居を提供する事業も出てきているのです。

海外であれば、住宅だけでなく倉庫やビルなどをはじめ、都市開発に関わることもできるでしょう。日本ならではの最先端技術と豊富な経験を武器に、海外での活躍にも期待したいところです。

マンション価格高騰で一戸建て需要が高まっている

国内全体での新設住宅数は減少していますが、その一方で、一部では戸建てへの関心が高まっており、完全に住宅業界が縮小傾向にあるとは言い切れないものがあります。

2020年ごろから首都圏のマンション価格が高騰し、マンションを購入するよりもコストパフォーマンスのよい戸建てに注目する人が増えているのです。

また、新型コロナウイルスの感染拡大も追い風となり、戸建ての方が出入りする人が限られることから、感染予防につながるという判断をする人も増えたのでしょう。

加えて、テレワークの浸透もあり、20代の若年層をターゲットにしたローコストかつコンパクトな戸建てプランも増加しています。

住宅業界の縮小の原因


住宅業界は、日本全体で見ると業界そのものが縮小傾向にあります。さまざまな要因が重なっているとは思いますが、具体的にはどのような影響が考えられるのでしょうか。

少子高齢化による若手不足

現在の日本は少子高齢化がすすみ、20代~30代の若手労働者も減少しています。その結果、さまざまな業界で深刻な若手不足となり、仕事はあっても人材不足のために回していけない企業も増加しているのです。

たとえば、住宅をつくる場合、高所作業があったり重たい建材を扱ったりと、若手には厳しい環境での業務になります。

20代前半程度のいわゆるZ世代は、ワークライフバランスやタイムパフォーマンスを重視する傾向があることから、住宅関連の仕事を避けたり離職したりすることが多いのです。こうした事情から、人材不足が深刻化してきているといえるでしょう。

職人の高齢化

家をつくる場合、大工さんなど各分野の職人が複数携わりますが、現状では50代以上の労働者が全体の30割を占めており、今後10年以内に定年退職する割合も高まっています。

職人の高齢化は、年齢だけでなく経験や技術、保有資格なども関係しています。住宅業界の進化にともなって専門性も高められるべきですが、こうした職人の高齢化と定年退職による専門性低下も課題といえるでしょう。

もしも、50代以上のベテラン職人が定年退職を迎えた場合、わずかな中堅と若手だけで事業を進めることは難しくなり、最悪の場合、倒産や吸収合併などを迫られる企業も出てくると推測できます。そうなれば、業界の縮小を止められない事態も想定できます。

施工管理職の不足

家づくりには、施工管理者が必要不可欠です。施工に必要な資材の調達やスケジュール管理、ほかの業者との打ち合わせや職人への指示など、マネジメント的な役割を担う人材も不足しています。

施工管理職に就くには、その企業の一定の水準や実務経験により企業が判断することが多いですが、現場数と若手が多い企業の場合は、施工管理者が不足することも考えられるでしょう。そうなれば、事業そのものが立ち行かなくなる可能性も出てきます。

また、こうした事態を回避するために若手に任せた場合、経験や知識不足によるトラブルが発生する可能性もあります。そのときに責任を問われる事態となれば、やはり事業への影響は避けられません。こうしたことからも、施工管理職の不足は業界の課題となっているのです。

経済の低迷

海外情勢の変化により、国内でも輸入品を中心に幅広く物価上昇が続いています。国内への影響は深刻で、電気やガソリンといったエネルギー関連、食料品、日用品など、生活に必要なものの約8割が値上げとなりました。

とくに食品や飲料は、メーカーや飲食店などでも値上げに踏み切る企業が多く、値上げした企業が出たことで、追随して値上げに踏み切る動きが広がったのです。

2023年11月現在でも、今後の値上げは続く見込みとされており、現段階ではマイホームの購入を先送りする人もすくなくないでしょう。

単身世帯などの少人数世帯の増加

国内では単身住まいの高齢者数が増加していることや、夫婦と子どもひとりなどのような少人数世帯が増加しています。単身世帯や少人数世帯の場合、広々したマイホームを持たずとも賃貸でも十分生活できるので、マイホームの購入意識が薄くなっている可能性があります。

地域や間取りにもよりますが、こうした少人数世帯では、マイホームを購入するよりも賃貸の方が月々の負担が軽く済む場合もあるでしょう。

今後、前述した物価の動きや少子化の改善などが見られれば、状況が変わることも期待できますが、過度な期待は禁物であり、しっかりと状況を把握して判断することをおすすめします。

2024年の住宅業界の予測と展望


2024年になると、住宅業界はどのような変化をしていくのでしょうか。今後、この業界への就職を希望している方には不安な部分もあるかと思いますが、現時点での予想と展望を解説していきます。

新築やリフォーム需要が高くなる

近年は、コロナ禍の影響による在宅時間の増加やテレワーク導入企業の増加が顕著でした。こうした影響から、より家での時間を快適に過ごしたい人が増加したため、2024年は新築やリフォームの需要が高くなると予想できます。

ただ、これまでとは異なり、大きくておしゃれなマイホームというよりは、自分たちが快適に感じられる環境や、家族構成にちょうどいい間取りなどのように、お客様の意識に若干の変化はあるでしょう。

木材需要の増加による材料費の高騰

国内での新築やリフォームの需要が増加したとしても、木材など建材の高騰は免れない可能性があります。これは、海外での木材需要が高まったことに由来します。

新型コロナウイルスの感染が落ち着きを見せたころ、アメリカではロックダウンの緩和と同時に低金利政策が行われ、住宅建設への意欲を高める流れとなりました。実際に着工数が増加しているのです。

また、中国でも木材の需要が高まり、国際市場での供給不足のトリガーとなりました。これらの影響が、世界的な木材価格の上昇につながっています。

日本は建材の7割を輸入しているので、世界的な建材価格の上昇は、住宅業界に打撃となっているといっても過言ではないでしょう。

さらに、建材確保のために国産の建材に注目が集まり、国内の木材市場全体の価格を高める要因となっています。当面の間は、建材価格の高騰は免れない可能性があることから、その点は注意深く見守ることが必要でしょう。

ZEH提案の増加

さまざまな課題をかかえる住宅業界ですが、2024年より、脱炭素に向けた取り組みであるZEHが一層の関心を集める可能性があります。

ZEHは、Zero Energy House(ゼロエネルギーハウス)の頭文字の組み合わせで、高断熱性能や高効率設備を利用し月々の光熱費を安くすることや、快適性・健康性の向上、自然災害への備えなどができる住宅をいいます。

国からの補助も受けられるため、ZEH基準のプランを基本プランとするハウスメーカーの増加も予想できるでしょう。

2030年までに国が省エネ基準をZEHに引き上げる

日本は、2030年までに省エネ基準をZEHに引き上げることを目標としています。これは、2050年カーボンニュートラル達成に向けた施政のひとつであり、国をあげて取り組むべき事業でもあるからです。

人と地球に優しい環境を整備する意味でも、この取り組みは今後加速していくと予想できます。

住宅業界が抱える課題

2024年以降、業界が抱える課題としては、建材の高騰のほかにもいくつかあります。具体的には、どんな課題があるのか確認していきましょう。

インボイス制度

2023年10月からスタートしたインボイス制度は、複数税率の採用に対し、ミスや不正を予防する目的で導入された消費税の申告制度です。言い換えると、国が消費税を正確に回収するための新しい制度ともいえるでしょう。

この制度で注目すべきは、年間売上1,000万円以下の免税事業者と、それ以上の課税事業者に分けられる点で、これまで免税事業者は消費税の支払い義務が免除されていました。

しかし、制度の導入により、課税事業者と免税事業者の取引には消費税控除の有無が発生し、控除できない場合は、課税事業者の負担が増える事態となったのです。

たとえば、免税事業者の一人親方を複数人使う工務店があるとしましょう。一人親方全員に支払う金額が合計3,000万円の場合、消費税は300万円となります。しかし、支払先が免税事業者であるために、工務店が消費税を納付する際に控除できないため、工務店が消費税分を負担しなければならないのです。

免税事業者の一人親方と取引するよりも、課税事業者同士で取引する方が税制上は負担がないため、どんなに優秀な一人親方がいたとしても、最悪の場合、取引を見合わせる可能性も出てくるでしょう。

若者人口の減少

少子化による若手世代の人口が減少していることは、住宅業界にとって重要な課題です。もちろん、ほかの業界でも若者人口の減少により人手不足は否めませんが、50代以上のベテラン職人がこの先10年程度で定年退職することを含めると、深刻な事態といえるでしょう。

住宅業界に必要な対策

これまで、業界における市場規模の変化や現実的な課題、2024年の動向などを述べてきました。これらを踏まえ、今後どのような対応をしていけばよいのでしょうか。今後必要な対策について紹介していきます。

省エネ住宅の推進

国をあげて省エネや環境問題に取り組んでいる関係から、その方針に則った、人と地球に優しい住宅づくりは外せないものです。

実際に、省エネ住宅は快適さや生活費の削減、自然災害などの際にも電気を確保できるなど、住む人にとってもメリットがあります。さらなる省エネ住宅の推進は、大きな柱のひとつといえるでしょう。

ZEH

国が掲げるZEH基準の省エネルギー性能は、2030年において戸建ての6割に、太陽光発電設備を設置することとしています。2024年を含めて残り6年あるとはいえ、積極的なZEH基準の家を提供することが望ましいです。

また、この取り組みは地球温暖化対策にもつながるので、マイホームを検討する方に対してもよい情報提供となるでしょう。

スマートハウス

今後の住宅業界には、住む人の快適性も大切ですが、エネルギー消費を最適化することも課題のひとつです。スマートハウスは、ITを使って電化製品を制御できるほか、エネルギー消費を最適な状態に保つ住宅をいいます。

たとえば、太陽光発電で電気を蓄電池や電気自動車に蓄えておいたとしましょう。その後HEMS(Home Energy Management System)を使って、創エネ・蓄エネ・省エネを行い、家庭内のすべてのエネルギーを管理して、総合的に住まいの省エネを目指します。

また、CO2の削減にも貢献する住宅として評価を集めているので、環境への配慮はもちろん、生活費を抑えた生活がしたい方にも積極的に提案するとよいでしょう。

新規事業の開拓や海外進出

国内では、人口減少により住宅が飽和状態になっていることから、業界のノウハウを活かせるような新規事業をはじめるか、まったく別の新規事業を開拓することも選択肢になるでしょう。

また、リフォームやリノベーションに力を入れることや、古民家や空き家を活かした事業のほか、海外進出なども視野に入れた取り組みも一考の価値があります。

国内の住宅が飽和状態になっているなら、既存の住宅を活かすことで、安く快適な住環境を提供できる可能性が出てきます。さらに住宅市場が売り手の海外に進出すれば、戸建てはもちろん、マンションなどの集合住宅も活気づくでしょう。

こちらの記事では、意味を混同されやすいリノベーションとリフォームの違いについて詳しく解説しています。設計の自由度や工事費用、それぞれのメリット・デメリットにも触れています。

業務効率化とDX導入

若年層の人材不足対策として、業務の効率化やDXの導入も重要なポイントです。たとえば、展示場やモデルハウスなどを廃止して、すべてオンラインで閲覧できる環境を整備することや、相談や打ち合わせをオンラインで対応するなどが挙げられます。

また、カタログや住宅性能などもデジタル化して、お客様が自宅にいながら仕様を理解できる環境があると、よりよいでしょう。

外観や間取りなどをオンラインで選択していき、お客様自身がシミュレーションできるシステムや、その住宅にかかる費用をローンで支払った場合の月額計算機能なども検討しておく必要があります。

こうした取り組みを進めることで、業界の営業コストや事務コストを削減できます。さらに、顧客情報を自動管理できるようになれば、入力ミスなどの人的ミスも予防できるでしょう。

まとめ

今回は、住宅業界の業態や職種、現状と2024年の展望と今後の対策について紹介しました。一見すると規模縮小の流れとなっているものの、詳しく紐解いていくと、今後の事業展開に期待と希望があることがわかりました。

規模縮小の要因には、人口減少だけでなく世界情勢の影響もあるため、そうした今後の動きにも注目していきたいものです。

また、国が推進するZEH基準やスマートハウスなどをうまく活用して展開していくことで、人と地球に優しいことはもちろん、企業の姿勢も周知されることが期待できます。

それにともない、省エネを重視したプランやお客様のライフスタイルに合わせたちょうどいい家づくりをしていくことで、在宅時間が長い現代の感覚にもマッチするのではないでしょうか。

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